本の修理をするということ
今まで、プライベートで或いはボランティアや図書館で働く中で、多くの本を修理しましたが、ずっと自己流でした。
図書館にはページヘルパーやブッカー、製本ボンドのような修理用品はそこそこありますが、どういう時に何を使うのが正解なのか分からないまま、経験値だけで続けてきました。
それが、手製本を勉強する中で、本の構造を理解し、まだまだ未熟ながらも、こうすれば修理ができるというやり方を学びました。
なるほど! これならあの本が直せる!
そう思えたときは、本当に嬉しかったです。
ですが、そう簡単には問屋が卸してくれませんでした。
まず、本の形態は一様ではないので、修理をしようと開けてびっくり玉手箱! なんてことが結構あるからです。
基本的なルールはありますが、それぞれの作り手さんが様々な制約の中で最大限に表現しようと試行錯誤されているため、見返しを外してみたら、これ何⁉ なんてことが私にはたくさんあります。
初めてみる構造、始めてみる紙、びっくりするようなことがいっぱいあるんです。
勿論、それが作られた時代によって、構造も紙質も使っている材料もまったく違います。
例えば、私はまだ自分で膠を使って手製本を制作したことはありませんし、最近の本ではまず見かけませんが、昭和の本の修理では何度か出会っています。
そして、修理には時間と手間がかかります。
何事もそうですが、壊れたものを修理するよりは、新品を購入した方が安上がりなことも多いのです。
今は自分の修行のため、勤務時間外に修理をすることがありますが、それはあくまでも今現在の、私の立ち位置によるものです。(自分のため、ということです)
こうしてインターネットが普及した現在では、出版社のHPを探すことも、古書を探すことも、難しいことではなくなりました。
ですから、別なものが購入できるのなら、そちらを選ぶこともあながち間違いではないと私は思います。
世にふたつとないから。
絶版となり古書としても手に入らないから。
思い出があり大切にしたから。
買い替えようと思えばできるけれども経済的に難しいから。
修理の対象になるのは、そんな本たちであろうと思います。
ですから、本を修理するには、誰が、どういう理由で、どういう状態に保存したいのか、という点をまず考える必要があると思っています。